最強小結(平成編)

平成総合ランキング

 別稿で各指標のランキングを紹介したが、いよいよ最強を決定したい。

 総合ランキングを作るに当たり、上記5項目を設定。重要度の大きい2,3については点数幅を広く取って細かく差別化した上で3/4補正してバランスを取った。

1. 小結ポイント(0〜3)

小結での活躍ぶりを評価。勝利数、勝越など

2.通算ポイント(2〜9)*3/4

幕内在位・勝利数

3.勝率ポイント(2〜9)*3/4

幕内勝率

4.殊勲ポイント(0〜3)

金星など横綱大関戦での活躍

5.活躍ポイント(0〜3)

三賞受賞やそれに準ずる好成績といった活躍の多さ

平成の小結10傑

  総合 小結 通算 勝率 殊勲 活躍
遠藤 20.3 3 7 8 3 3
北勝富士 17.5 2 5 9 3 2
3豊真将 15.5 1 6 8 1 3
4高見盛 15.3 0 8 7 2 2
阿武咲 15.0 2 4 8 2 2
6旭道山 14.8 2 7 6 2 1
6三杉里 14.8 2 7 6 3 0
8時天空 14.5 2 8 6 1 1
9松鳳山 14.0 1 7 5 2 2
10露鵬 13.8 2 4 9 1 1
次旭鷲山 13.0 0 8 4 2 2
次黒海 13.0 2 6 6 1 1
々琴稲妻 12.8 1 8 5 1 1

 

※令和4年夏場所時点

ベスト10の顔ぶれ

 

 遠藤北勝富士と令和でも三役を張った力士がワンツー。さらに実績を積み上げていく可能性もあるが、それより新関脇を果たしてほしい。金星は小結最多の7で並ぶ2人。横綱戦勝利数では1勝、幕内勝率では2分ほど北勝富士が上回るが、キャリアの長さと小結5場所の実績、三賞獲得数で差をつけて、遠藤が総合評価点では頭一つ抜けている。もちろん今後まだ変動する可能性がある。

 

 3位は三賞最多の豊真将。現役を終えての勝率5割超えも、ほかに10位の露鵬だけと優秀な成績。小結での低勝率と、横綱戦未勝利の殊勲度の低さが足を引っ張りトップ2とは差がついた。

 

 僅差で4位は高見盛。小結としては輝けず、10傑中で最も在位中の勝利数が少ないが、通算勝利、勝率ともに10傑入りしているのは、ほかに現役(今後勝率低下の可能性がある)の遠藤と千代大龍だけだ。人気だけでなく右差しの型が光り技能賞2回、上位も食っている。

 

 5位は現役の阿武咲で、こちらも既に三賞4金星4を記録。5割を超える勝率、2場所務めた小結でも途中休場はあったが僅か1の負け越しと健闘。まだ若く通算記録は今後の上積みも期待できるが、こちらもリストからの卒業を期待したい。

 

 6位は同時代に活躍した2人が並んだ。金星6の三杉里が殊勲Pで、三賞4度の旭道山が活躍Pで上回るが、その他の評価点で並んでトータルで並んだ。小結成績が全く同じで、3場所16勝29敗1勝越。幕内勝率も6毛差。

 

 8位には時天空。金星0、三賞1と目立った活躍はないが、大卒ながら63場所431勝で、共に2位。早逝に繋がった病がなければ隆三杉を上回って最多在位、最多勝利をマークしていたかもしれない。小結では朝青龍を破るなど2度7勝を記録。

 

 9位は令和で引退した松鳳山。遠藤と並ぶ在位5場所を記録。勝率はそこそこだが、在位50場所と息が長く、三賞4金星5は共に10傑。晩年にも千秋楽まで優勝争いに加わる活躍で魅せた。

 

 10位には露鵬。解雇という末路はともかく、短い現役生活で通算記録が劣っても、圧倒的な最高勝率.532が牽引して10傑に入る。地力的にも違和感はないだろう。腰痛で停滞していたが、右四つの形は整いつつあっただけに、力士寿命を全うしていたら関脇には上がっていただろう。

 

(補欠)

 ここまでが10傑だが、現役3人の成績はまだ変動するし、関脇に上がって対象から外れるかもしれない。補欠として引退した力士の10位までも紹介しておく。

 次点には奇しくもモンゴルと欧州のパイオニアが並んだ。

 旭鷲山は、在位60場所超えの通算Pが引っ張ってこの順位。成績に斑があって勝率はワースト10に入るが、その分二桁勝利も多い。モンゴル相撲仕込みの独特の技で時に大物食いもやってのけて活躍P、殊勲Pでも稼いだ。

 黒海は、いずれの項目も10傑に入らないが、満遍なくポイントを獲得。小結2場所ながら勝越しているのが大きかった。全盛期の朝青龍から2勝、大関武双山に引導を渡している。

 

 これに続くのが琴稲妻。地味ながら幕内60場所、400勝を記録。常に上位を保っていたわけではなく、30歳超えてのスロー新三役は家賃が高いと思われたが、横綱貴乃花を破って6勝としっかり爪痕を残した。

 

 ちなみに現役を除いたベスト10の次点に控えるのは、1ポイント差の11.8で岩木山海鵬。勝率.480を残した岩木山の方が上位で活躍した印象が強いが、小脳梗塞を起こして余力を残したまま引退してしまい、大卒社会人経由での遅い入門だったこともあって通算記録が伸びなかった。金星は各1だが、岩木山は千代大海に4連勝、海鵬は武蔵川部屋の上位陣に強かった。

 

ベスト10の特徴

 面白いことに、総合上位10傑は、小結での勝利数上位10傑とほぼ一致(高見盛以外)。配点における「小結」のウェイトは高くないのに、強い相関関係があった。高見盛のみ10傑入りできず、2場所在位ながら小結0ポイント。

 実力者だけに三賞受賞数の多い力士も目立つが、三杉里は二桁勝利が10勝で敢闘賞を取った1度きり。旭道山は4度三賞を取ったが二桁勝利が0の不思議。二桁勝利が多い時天空はケレン相撲が嫌われたか三賞に縁が薄い。

 北勝富士は変に実力者扱いされて11勝して三賞なしが3度もある。三役運もなく、普通なら5回は昇進しているはず。

 金星の多い力士も目立つが、豊真将、露鵬は横綱に勝ったことがなかった。ただし、横綱の強すぎる時代の不運と大関戦の実績を加味して殊勲1ポイントとした。

昭和も含めた最強小結ランキングはこちら。