綱とり物語2

 「綱とり物語」では、近年稀な昇進劇となった平成29年の稀勢の里の横綱昇進問題を取り上げつつ、過去の横綱昇進の例を紐解き、是非を論じた。

 復活も束の間、和製横綱不在となってまた5年が経とうとしている令和5年暮れ、筆者の感覚からすると予想だにしない綱取りが話題になっている。

 これを機に前校を思い返し、この綱取りはありうるのか、論じてみたい。


カド番、11勝で変化して優勝は綱取りか

 

 令和5年。賛否両論の中、よくわからないうちに綱取り場所という位置づけで大関貴景勝の九州場所がスタートした。

 11勝での優勝は綱取りの参考となるかが意見の分かれるところだが、

 

 本人     連覇で昇進と前向き

 横審     様々な条件が揃えば

 理事長    言及なし

 審判     最後までわからない

 メディア   連覇なら綱取り

 古手の評論家 ほぼ否定的

 

 これまでの綱取り例と比べ、貴景勝の置かれる状況を評価すると、

<ポジティブ>

 1  既存横綱   横綱不在の危機(照ノ富士が年1場所しか皆勤できず)

 2  連続優勝(仮)  さすがに好成績でも準優勝では厳しいだろうが、連覇となると見送りは例外的な状況だった千代の山以来で、横審発足後、現在の体制が確立されてからは例がない。

 3  通算優勝   連覇なら5回目。5回も優勝して横綱でなかったのは、戦後では魁皇、貴ノ花(2代、7回目の優勝で昇進)くらい。

 

<ネガティブ>

 1   勝敗

  全勝しても、2場所合計26勝は昇進成績としては下限レベル。

 2   カド番明け

  カド番後2場所での昇進例はなし(否定はされていない)。

 3   内容

  決定戦で格下(再入幕、幕内2場所目の前頭14熱海富士)に変化を決めたことが物議を醸している。

 4   横綱戦勝利

  照ノ富士の休場により対横綱戦はなし。これは本人はどうしようもないが、横綱より強いことを直接アピールできないばかりか、その分高い成績を求められるので損に働く。横綱戦もなく11勝の優勝となるとますます価値が下がる。

 

 

 このように、客観的には極めて厳しい情勢だ。過去大関で11勝で優勝したのは武蔵丸だけ、この時は5人での決定戦を1横綱2大関を破って制しており内容的には上だが、翌場所の綱取りは話題にもならなかった(もしも翌場所全勝に近い成績で来ていたら俄かに話題になった可能性はあるが)。幕下からずっと負け越しなしの安定感を誇った強豪大関でもこの扱いだった。違いは横綱が欲しい状況かどうかという一点。

 

 北の湖理事長は13勝以上起点説だった。例えば、千代大海が12勝で優勝した時は冷ややかな反応だったが、翌年2差の13勝2敗の時は、世論はあまり綱取りムードではなかったが、高いレベルの優勝を条件にしつつも可能性を認めていた。

 理事長の意向に左右されるのがいいのか悪いのかはともかく、これくらいスタンスがはっきりしていれば、今回ははっきりと退けて良い案件なのだが、近年の(特に和製)横綱枯渇による軟化傾向か、話題作りを優先した計算か、理事長も審判部もはっきりとした見解は述べなくなった。そのため、「11勝も優勝には変わりない」という、かつてなら一笑に付されたれたであろう論調も幅を効かせている。

 

まずは私見

 私見では、綱取りを話題にするのは無理があると思う。本人が意気込むような状況でもなければ、周りが煽り立てる成績ではない。本当に全勝ならまだしも、13勝以下で2場所連続優勝だけを根拠に昇進させてしまえば、もはや連覇なら何でもあり。綱取りに論争の余地はなく、機械的なものとなってしまう。

 

 そもそも横審の昇進基準の内規は①が品格、力量抜群。②が大関で2場所連続優勝(③これに準ずる好成績は2/3の賛成要)。

 ②では優勝のことしか書いていないので。星数だったりは①のうち力量を測る参考数値という扱いになる。だから11勝でダメという根拠はないが、その前3場所も不成績が続いており、力量抜群というのは前例的にもかなり苦しい。

 

 ①が定性的で②が定量的。補い合っていると言えば聞こえはいいが、やはり具体的な②が一人歩きしてしまう。②の不足を①で救おうとしたり、②で拾えない悪い要素を①で問おうとすれば、悪意があるとの批判は免れない。どう判断しても杓子定規と言われるか、恣意的と言われてしまう構造的な問題がある。

 

 

あえて可能性を探る

 それでも、と諦めきれない貴景勝フリークのために、なんとか救いはないか、今場所の貴景勝が抱えるネガティブな条件をクリアして昇進、またはそれを不問として綱取り対象と名言された事例を掘り返してみよう。

 

 

 

①カド番優勝

今回は全休によるもので、黒星を重ねた結果ではないので問題ないという考え方もあるが、一度の陥落を含めて7度目のカド番だったことを考えると、目こぼしはしづらい。

 

そもそも、カド番優勝者には、直後の綱取りに高いハードルを課せられてきたのか?

 

前回のカド番優勝は豪栄道。もう7年前になる。それまで自己最高が12勝。大関昇進後は不振に喘いでいたが、突然覚醒して何と15戦全勝をやってのけた。

綱取りに向けて、カド番は問題にならないと審判部が言い切った。10年以上絶えていた日本人横綱渇望の事情もあっただろうが、えらく気前がいいと思った。全勝に勝るものはないのでカド番を打ち消したのはわかったが、それまでの不成績続きも完全に水に流すのか、と驚いた。

翌場所、序盤は無傷で乗り切り期待が膨らんだが、そううまくはいかず。中盤戦3敗を喫し、霧散。9勝止まりだった。

 

それ以前の琴欧洲、栃東も、14番勝ったことでカド番をことさら言われはしなかった(琴欧州はカド番を含めてそれまでの停滞ぶりに触れられて高いレベルを期待されたが、栃東はもっと低迷が長いのにあまり指摘されなかったが、それはまた別の議論)。12勝の千代大海は先述の理事長方針もあって、一応は要件満たすけども、というくらいの雰囲気。10勝2敗で残り3日まで粘るも、最後までムードは高まらず。平成13年の魁皇は、カド番を挟んで2度の優勝。もちろん連続した好成績とはみなされなかったが、カド番以上に直近2回優勝の実績が目立って、今度こそという空気になった。

 

振り返ると、カド番というだけではそれほど大きな障害とはみなされていない。では微妙な成績になったときに影響してくるかというと、それが原因で惜しくも見送られた例はない。

では不利にはなっていないのか?

否、一度たりとも成功例はないのだ。

 

つまり、人の判断以前に、角番優勝力士は、当落線上に達したこともない。箸にも棒にもかからない。厳然たる事実が突きつけられている。

 

※惜しかったのは、平成6年春の貴ノ花。前の場所は14勝で「親子カド番優勝」。春場所も3敗ながら首位タイで千秋楽へ。しかし結びの一番で曙との相星対決に破れ、決定戦進出ならず。勝っていれば貴ノ浪、貴闘力と同部屋3人による巴戦だったが、この当時の厳しい基準だと、12勝では準優勝だったとしても見送りだった可能性が高い。

 

 

クリアした者はいない。だが門戸が閉じられているわけではない。

 

誰かが史上初を成し遂げるしかない。

 

 

 

②変化で決まった優勝

 

横綱を目指す力士には、内容も求められる。勝ち方、負け方。審判部という玄人による主観的な判断であり、ファンが納得しにくいポイントだが、横綱が務まるか見極めるのは、番付編成を預かる審判部の重要な役割でもある。最近それが分かれ目になった例は少ないが、旭富士などはよく負けっぷりに難癖をつけられていた印象がある。

 

「内容」に関しては、主観に左右されるため意見が割れやすいが、比較的衆目が一致するのが「変化」へのネガティブな評価だ。大概の解説者が揃って酷評し、素人目にも明らかなことから、特に平成中期以降、立ち合いの変化に対するネガティブな評価が、かつてなく定着した印象だ。「横綱相撲」という理想を期待する声も根強く、横綱昇進を目指す力士には、すべて受けて立てとは言わないまでも、相手の当たりをかわすような立ち合いには激しいバッシングが浴びせられる。それも、序盤、中盤くらいなら、ちょっと合わなかった、相手の低さに体が動いた、くらいの言い訳で済ませられるが、優勝争い佳境で白星に飛びつくような変化は、小物感が出て印象が悪い。

 

それを決定戦でやってしまい、しかも相手は、そんな舞台にいるはずのない、実績皆無の平幕下位の21歳。これ以上なく酷評される要素の揃った変化だった。

 

救いようがないことを説明して終わりそうだが、それを救うのが本稿の目的だった。

 

変化で優勝を決めた大関三選!

H19.3 白鵬

H14.1 栃東

H10.3 若乃花

 

白鵬は決定戦で朝青龍に変化を決めた。本割では朝青龍が変化で決定戦進出を決めたばかりであり、場内は批判よりも自業自得の悪役王者への嘲笑を含んだ拍手。もちろん白鵬への批判の声もあったが、翌場所全勝優勝で黙らせ、横綱昇進。

 

栃東は新大関で逆転優勝を果たした。本割で大熱戦の末に破った千代大海との再戦。同い年の両大関によるリベンジマッチでボルテージの高まる中、狙い澄ました叩き込み、ファンには肩透かし。親子優勝ということでも話題になったが、そういえば先代も変化で清國にタタラを踏ませて平幕優勝を決めた。記録ずくめの初優勝への祝福も声も大きかったが、決定戦史上に残る凡戦との批判も強かった。綱取りは、それが蒸し返されるまでもなく、あえなく潰えた。

 

若乃花も変化で優勝を決めた。こちらは単独トップで逃げる展開で、猛追する曙に敗れたものの千秋楽本割で勝てば決定。すでに上位戦を終え、相手はすでに負け越ている小結琴錦。いきなり高く左上方へ跳んでの叩きに、突っ込んだ相手はバッタリ。正真正銘狙い澄ました変化だった。場内一瞬あっけに取られたが、それほど問題視されることなく綱取りに突入。翌場所12勝での優勝、横綱昇進に、連覇なら何勝でもいいのかという議論は起きたが、前場所の変化にまで言及した否定論は見られなかった。

なお、若乃花に関しては、小兵、技能派の認識、判官贔屓、圧倒的な人気で、変化技を批判されない特性があった。貴乃花には見過ごせなかったようだが。

 

綱取り場所で?

H45.1 北の富士・玉乃島

さすがに、変化でもぎとった優勝直後に綱取りに成功したケースはないが、北の富士・玉乃島が同時昇進したとき、大詰め13日目に2人揃って変化で勝っている。結果的に両者13勝まで延ばして同時昇進がかなった。(連覇の北の富士だけでなく、前の場所10勝の玉乃島も。少しの変化だけで内容面は大きなマイナスにはならなかった。)

 

 

といったように、事例は少ないが、優勝を左右する大事な場面での変化が直接昇進に影響したことはない。今回は相手も相手なので批判の声は強いが、案外なし崩し的に突破できるかもしれない。

 

 

 

③前場所12勝以下

 

優勝とはいえ11勝というのが問題視されるが、そもそも12勝でも歓迎されない。「全勝でもすれば」といった突き放した見解が示されて、あえなく前半戦から黄信号、終盤までに話題から消えるのが関の山だった。今場所もほぼそうなっているが。

過去、前場所12勝以下からの昇進例はー。

 

12勝以下の「優勝」の翌場所に昇進した例はなかったが、12勝以下かつ優勝以外のケースは意外とあった。

 

前場所12勝以下で昇進が取り沙汰されたケースは、以下を1つ以上満たす。

①準優勝しており、翌場所の大活躍で一躍昇進

②前々場所に優勝などの活躍があった

③それ以前の昇進見送りが背景にあり、そこからの連続性がある

 

 

今回の貴景勝は、①の一種で、優勝というプレミアがつくが、11勝は見劣り。③でいくには、大関で2度優勝した実績はあるが横綱昇進に迫ったことはなく、直近の優勝からも2度の角番を挟んでいるので、連続性はなし。

また、他の例では優勝力士を倒していることが多かったが、横綱も不在で、優勝争いの相手は平幕。直接対決でアピールする機会がなかった。

 

 

さて、過去の例と比べてどうか。

 

<①を含む事例>

①鏡里 11ー12準-14V

年6場所制以前で参考にしにくいが、この時代でも時期尚早論が強かった。大関として6場所、常に二桁の白星を残していたが、13勝以上は初めて。前の場所は2差をつけられたが、栃錦に唯一の土をつけている。2場所連続優勝に準じていると言えなくはないが、優勝経験もなく綱取り待ったなしの雰囲気でない中、降って湧いたような印象が時期尚早論に繋がった。

 

①北尾(双羽黒) 10ー12準ー14同

大関わずか4場所目にも関わらず、優勝未経験で横綱となった。千代の富士との2敗同士の相星決戦に敗れ、翌場所は千秋楽本割で全勝を阻止したものの決定戦では再び賜杯をさらわれた。星数は8年前に二代若乃花が連続準優勝(同点)で昇進した時と同じ26勝だが、それまでの実績がほぼない。それでも、1人横綱解消、6大関回避といった事情も相俟って昇進が決定。

 

①③稀勢の里 10-12準‐14V

稀勢の里は、前の場所は3横綱を破ったが14勝の鶴竜に2差の12勝。その前の場所が10勝止まりで、綱取りが話題になる成績ではなかった。しかし、結果的に14勝で初優勝して昇進。

過去に優勝の実績がないことは問われず、むしろ前の場所で年間最多勝をマークした長期的な安定感が推挙にあたっての論拠とされた。通常綱取りは直前2場所、長くて3場所の成績が議論されるが、1年ほどの成績を評価したことを審判部見解として出たのは画期的だった。

それほど、直前2、3場所の成績が物足りないことをわかっていたからこその発言ではあった。

 

案外数は少なくないものの存在する。ムードが高まれば途中からでも綱取りに至ったケースもある。

 

<①以外の事例>

②吉葉山 14準ー11ー15V

前場所11勝の吉葉山。その前の場所で優勝こそ逃したが14勝し、或いは綱取りという場所だったが、連敗スタート。立ち直って14日目には東富士の全勝を阻止、12勝の準優勝なら翌場所に繋がりそうだったが、千秋楽敗れて3差をつけられた。当時のことだから綱取り継続の目安も特になかっただろうが、近年なら千秋楽の負けで綱取り白紙と切り捨てられるところだ。だが、続く場所を全勝で初優勝すると、何度も惜しいチャンスを逃していただけに、歓喜の声が昇進ムードを作り上げた。同じ初場所で初優勝による高齢昇進、国民的期待を背負いながら、期待させてはコロッと負けるあたり、稀勢の里とよく似ている。

 

③柏戸 10-11-12同

 直前2場所23勝、直前3場所33勝と大関取りのボーダーレベルで昇進してしまった。昇進を確定させた大鵬と、直接対決では互角以上に取る次世代のホープとはいえ、なかなか強引な抜擢だ。むしろ惜しかったのはその前で、初場所の初優勝に続いて1敗で終盤を迎え、大鵬を破った翌日から連敗。優勝の決まった朝潮に勝って結果的に1差としたが、時期尚早と見送られた。そのまま二桁を続けて優勝同点で昇進としたわけだが、近年なら一旦途切れていると見られるだろう。参考外。

 とはいえ、よく上げておいたもので、長年大鵬の対抗馬として優勝争いを演じたものの、2場所連続優勝に準ずる成績を残したのは、最後の優勝を果たした42年7月(13−14)。大関にしておいたら、横綱になるより先に怪我で転落しているか、怪我をおして大関維持に汲々とするか。豪快な勝ちっぷり、負けっぷりで時代を彩ることはできなかっただろう。

 

②③玉乃島(玉の海) 13Vー10ー13同

 前場所10勝と大関取りでも不利な成績にも関わらず、優勝同点止まりながら連覇した北の富士と同時昇進したのが玉の海。そこだけ切り取ると激甘の抱き合わせ昇進のようだが、2場所前は優勝している。そこからの継続と見ると、そこまで悪くない。さらに玉の海は一度横審に諮問を蹴られている。協会としても地力を認めているだけに、機が温まればいつでもという構え。そこに今まで不安定だったライバル北の富士が急浮上したものだから、最後は千秋楽対決で1勝1敗と互角の勝負を演じたものだから、それなりの根拠があっての推挙だった。

 ただ、前例というには、10勝だから綱取りは途切れるとか、そもそも綱取り場所という概念もまだはっきりしていないから参考にはしづらい。

 

②大乃国 (15V)‐12準‐13準

 大乃国は綱取り継続となった場所で昇進した稀有なパターン。綱取り場所で連覇は逃しても12勝以上なら翌場所に繋がると言われる(昭和63春旭富士、平成16九魁皇、平成19春栃東など)が、それをものにした例はこれくらい。それほど長期的なスパンの綱取りは難しい。夏場所を全勝で初優勝した大乃国は、14日目に全勝で走る横綱千代の富士に待ったをかける。1差として千秋楽、たとえ届かずとも直接対決を制して1差の13勝なら星数としても申し分ないところだが、北勝海に敗れて12勝止まり。先場所全勝のアドバンテージをもってしても、2差の12勝では次点といえども昇進の声は掛からなかった。翌場所も全く同じ展開で14日目に全勝北勝海に土をつけ、2敗で千秋楽。千代の富士休場の追い風もあり、平幕逆鉾を倒して今度は1差の13勝。追試験をクリアした。直前2場所とも優勝のない昇進はこれが最後となっている。

 

×②③貴ノ花(貴乃花) 14V-11-14V

 横審で撥ねられたが、協会は諮問したケース。この年は14V-11-14V-11-14Vと来ており年3回も優勝して横綱でないのも不自然。間の11勝をどう評価するか、特に2場所前の11勝は首位武蔵丸に4差をつけられたが、少なくとも協会は連続性を認めるという見解だったということ。しかし横審では内規の2場所連続優勝に準ずるかが論点となってしまい、理屈上は拡大解釈ということになった。それでも、平成以降でも前場所11勝でも対象になる可能性はあったことを示す貴重な例だ。

②③は、いずれも前2場所以前に綱取りに繋がる要素があって、なんらかの連続性が認められているから、今回の貴景勝のケースとは異なる。本来、前の場所が12勝以下で綱取りになるのはこういうケースだ。

 

 

あとがき

 ①角番優勝後は成功例はないが明らかに否定されておらず、②変化で優勝を決めても綱取り成功例はあり、③11勝の次の場所に上がった例も多少ある。多少は救いになるだろうか。

 しかし2要素合わさったケースは見送り例すらなく、3要素揃った上に横綱戦などのプラス要素も見込めない今回は、全勝・連覇で力ずくで上がるしかないのではないか。

とかコネ回しているうち、場所が終わってしまった。

 さすがに3敗したあたりで絶望、消滅という言葉も踊らず、綱取り報道はフェードアウトしてしまった。淡い夢だった。

 

 さて、この場所を13勝2敗で制したのは大関霧島。平幕に2敗し、大関戦も1つ飛んで上位に一人しか当たっていないことを考えるとそれほどハイレベルではないはずだが、審判長が「レベルの高い優勝」と言ってしまうのも、昨今の流れでいけば仕方ない。

 レベルの高い優勝であれば、翌場所14勝、全勝までは求めないということ。13勝で準優勝以上ならケチはつかないだろう。12勝の優勝なら2場所25勝止まりで、15日制下では横綱昇進時の最低成績。しかし先場所あれだけ11勝の優勝を起点にして話題にしたのだから、星が物足りないとは言い難い。これでは内容を問う隙間もない。やはり無理を通せば道理が通らなくなってしまう。